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地球緑化クラブ~「5つ」の約束~

  • 1. 地球緑化クラブは非営利団体です。
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  • 4. 持続可能な活動を目指します。
  • 5. 技術向上を常に心がけます。

砂防・緑化技術「草方格」

 流動砂丘を緑化する際、必ずと言ってよいほどぶつかる壁が、砂の移動により苗木が倒れてしまい枯死する現象です。私たちが実際にクブチ砂漠の現場で調べたところ、砂は1年間に10m以上移動していました。この砂の移動により、せっかく植えた苗木も1~2年で倒れてしまします。

 流動砂丘の地中には比較的水分が多く含まれているため、砂の移動を止めることができれば緑化は可能です。つまり、植栽前に治砂を行うことが、流動砂丘を緑化するうえで最も重要となります。そこで注目される砂防技術が「草方格」と呼ばれるものです。

 草方格は枯れ草(麦わらなど)や枝(沙柳など)を碁盤の目状(一般的に1m四方)に地中へ差し込むことで、地表面の風速を低減させて砂の移動を止める技術です。この方法は中国で昔からある技術で、今でも鉄道や道路ののり面の砂防工事として一般的に行われています。

 私たちは長年草方格を研究し、より効率的で効果的な緑化方法を確立しました。ここでは流動砂丘の様子から、草方格の施工、そして緑化するまでをご紹介します。砂漠を緑化する方々の、技術的なサポートとなれば幸いです。

砂防・緑化技術「草方格」の目次

その1 草方格による治砂・緑化


流動砂丘は年間10m以上も移動する
   クブチ砂漠の砂の移動はおもに季節風で起こり、年間10m以上移動します。季節風は毎年同じ風向きであるため、砂漠は常に同じ方角へ移動していくことになります。

 写真は砂丘の移動を表したものです。中心にポプラが埋まっているのがわかります。ポプラは砂丘東の丘間地に植えられていました(右が東)。つまり砂丘の頂上は左の人のところであったことになります。それが1年後、砂丘の頂上は右の人のところまで移動しています。
 高木でも砂の移動は抑えられない
   砂の移動あるいは防風のために、砂丘にポプラを植えられている様子をよく目にします。

 しかし、砂の移動はそう簡単には止まりません。ポプラは砂に飲み込まれてしまっています。

 ただし、砂に埋もれることで地中の水分を多く吸収できるようになるため、成長が良くなることが長年の経験でわかりました。列植することで防風効果は得られるので、植え方さえ誤らなければ植栽は可能です。
 激しい砂の移動のため根がむき出しになり倒れてしまった
   逆に砂が移動したために倒れることもあります。根が張れば砂の移動は抑えられるが、これは草や低木類が生い茂った際の話です。

 高木はそれほど密に地中に根を張らないので、やはり砂の移動が起こり簡単に倒れてしまいます。

 流動砂丘を緑化するには、この砂の移動をまず抑えることが必要になります
 草方格をつくる際、牧草や低木類を播種することも有効
   砂の移動を止める優れた技術に「草方格」があります。草方格は枯れ草などを地中に碁盤の目状に差し込んでいくことで、砂の移動をとめる技術です。私達はこの草方格を利用して、流動砂丘の緑化を行なっています。

 まず枯れ草を並べる際、地面に簡単に線を引きます(通常1m間隔)。この線の上に、その地に適した植物(できれば牧草となる植物)の種を播いていきます。
 草方格は麦わらや枯草で簡単につくれる
   その上に草を薄く並べ、草の中心をスコップなどで地面に挿し込んでいきます。この時、先に播いた種も同時に水分のある地中へと入っていきます。簡単な作業ですが、その砂防効果は絶大です。
 砂丘上部には草方格はつくらず風で飛ばす
   草方格は砂丘の上部には施工しません。草方格をつくると砂の移動がほぼ抑えられます。つまり砂丘全面を草方格で覆ってしまうと、そのままの形で固定されることになってしまいます。

 山がいくつもあっては、その後の利用が難しくなります。そこで毎年同じ方向へ吹く季節風を利用し、砂丘上部の砂を隣の丘間地に落としてしまいます。こうすることで、数年後には砂丘はほぼ平らな土地へと変えることができます。

 また、施工は砂丘の風上側(クブチでは西側)の斜面だけに行ないます。風下斜面に施工しても、砂に埋没してしまうためあまり意味がありません。

 この方法であれば、施工地は砂丘全体の3分の1から4分の1程度で済み、経済的であり労力も少なくて済みます。